TAKEUMA’s blog

大人になった未来の我が子に向けて。父と君たちとの『今』を伝えるためのブログ

【書評】村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝

骨折によりしばらく安静なので、読書に励むことに。前から気になっていた本書を図書館で借りてもらった。

 

村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝 

/栗原康 /岩波書店

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【あらすじ】

伊藤野枝は大正期に恋人(内縁の夫)の大杉栄とともにアナーキズム(無政府主義)の主張や女性や労働者の開放等、社会論壇を世に広めた人物。その生涯を、文筆やエピソードともに追い、行動原理や思想をたどる評伝。好きなものを好き、食らい、セックスにふける。社会制度からの解放を求めるアナーキーである。

 

【感想】

私は常々、女の人はもっと自由奔放に生きてほしいと思っている。家庭や家事なんかに縛られず、もっと自由に、本能のままでいてほしい。私も本能のままでいたい。

 

伊藤野枝に会ったら、惚れてしまっただろうな。この奔放さ。そして、わがままだけではなく教養があってちゃんと主張する。女を奴隷のようにする結婚制度には反対。すごく分かります。貞操観念なんてありがたくない。猫のように自適がいい。今をちゃんと生きていたい。私としては、野枝は言うほど過激な人だとは思わない。全然まっとうに生きていると思う。この程度で過激と思うなら、もっとSMの世界とかも知って、人の欲望の過激さを知るべきだと思う。

 

100年も昔の話なのに、いまだに男女の社会的な位置づけが何も変わっていないことが悲しく思う。

 

本書は、野枝の文筆やエピソードを交えながら、筆者の主観もかなり入った評伝の形でまとめられている。一般的な一人称や三人称の伝記とは異なり、今まで読んだことのない形式で、一種のブログのような軽快な文体をなしている。そして、筆者の野枝愛の熱量がすごい。野枝を全部肯定していて、信者のようで若干ひく。「そこはちょっと違うんじゃないかな」とか入っていてくれた方が、安心するかも。


いつか、野枝のどこがすごいの?こういうの人間として普通じゃん、と思えるような、みんなが人間性(野性?)を取り戻すような世の中になるといいな、と思う。

 

【星】 ☆5